会社・個人事業の破産について
もくじ
会社の破産手続きは、資金がつきる前に決断することがポイントです。
会社の倒産手続には、事業を残す再建型と会社を消滅させる清算型の手続があります。
再建型
・会社更生
・民事再生
清算型
・破産
・特別清算
それぞれの手続きをこれまでの弁護士経験から以下にまとめてみました。
事業財産を担保にとっている銀行などの担保権実行を阻止する強力なものですが、東京や大阪などの高等裁判所の所在地以外の裁判所では実績がなく、ほとんど利用されていません。
予納金が高額で申立により売り上げが激減するため、協力なスポンサーがつかないと成功する例はほとんどありません。
破産回避のための整理手続で、子会社などを清算する際に予め取引先の同意をとった上、地元の老舗会社で体面上破産を回避するため経営者が私財提供して若干の配当をして清算する場合に利用されるもので一般的ではありません。
上記のことから、一般的なものとしては破産申立による解決となります。
破産すると世間体も悪るく、従業員に迷惑をかけるなど、破産手続を思い止まり、不渡りや、取引先への支払資金が枯渇してから弁護士に相談するケースも多くあります。 そうなる前に弁護士に相談することで会社資金を利用して破産手続を進めることができます。
会社資金を利用した破産手続は、従業員の未払給与の立替や財団債権者として配当を受けることが可能となり、結果的には従業員のためになります。
●従業員の未払給与について
未払給与については、厚生労働省所管の独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替制度により、立替払を受けることができます。
破産開始決定後に破産管財人から未払賃金の証明書を取得し、従業員に未払賃金立替払制度の利用を促します。
破産手続開始前3か月以内の給与は、財団債権として優先的に弁済されます。このため、破産財団に十分な資産があれば、全額支払われることになります。
破産財団に十分な資産がない場合は、未払賃金立替払制度を利用することで、8割の給与が支払われます。残りの2割と解雇予告手当ては、破産財団に資産が残っていれば、他の財団債権と按分して優先弁済を受けることになります。
会社の破産手続きをおこなった場合には、大きく分けると「裁判所に納める費用」と「弁護士に支払う報酬や着手金」そして、破産管財人の報酬として予め納める「予納金」という費用になります。
破産手続きに必要な費用のほとんどは、「弁護士費用」と「予納金」になります。
財産が残っていれば債権者に公平になるように分配される必要があるため、責任をもって財産を的確に調査し、債権者に分配してくれる存在として破産管財人が選任されます。予納金の内訳は、「破産管財人」に支払われる予定報酬が大部分を占めています。
破産管財人が対処すべき課題や調査など問題点が多いケース(仕事量が多い)は、予納金が高くなり、逆に破産管財人の仕事を減らせば安くすることができます。また、「少額管財事件(S管財事件)」として弁護士に依頼し、手続きすることで納金の額を最小限(少額管財の予納金、原則として205,000円)に抑えることができます。
代表者が法人債務の連帯保証人の場合
代表者個人が法人の債務の連帯保証人になっている場合、その債務の支払いができなければ、代表者個人も破産が必要になります。個人の自己破産費用が別途費用が必要になります。
代表者個人に財産がある、または調査が必要との理由で管財事件となる場合は、これに313,160円の追加費用が必要です。
【参考】弁護士費用について(借金問題)
下記の業務が発生した場合の追加費用
家主との明渡交渉(賃借物件の場合) |
105,000円 |
明渡事務(賃借物件の場合)※リース物件・所有権留保物件の引き渡しを含む。 |
105,000円 |
従業員対応(解雇・未払賃金立替制度の説明) |
105,000円 |
受任後の物件管理 |
105,000円 |
破産手続きにかかる費用の捻出は、売却した在庫商品、什器備品、機械類については売却額から、売掛金の回収については回収した売掛金の回収額から、着手金及び報酬相当の弁護士報酬を頂戴し、残額は裁判所に予納するか破産管財人に引き継ぐことになります。
・手形・小切手
不渡りを出してしまっても、その会社はすぐに倒産するわけではありません。
6か月以内に2回目の不渡りとなると銀行取引停止処分となり手形・小切手での支払ができなくなり、手形・小切手を用いる仕事(建設工事業が典型的)や事業がストップしてしまいます。
取引先との話し合いで手形の買取や書替により、2度目の不渡りを回避できることがあるので、法律的には2回目の不渡りが出て、銀行取引停止処分を受けた段階で、支払停止(倒産の基準日)にして、以後の法律関係を考えていきます。
・ヤミ金
ヤミ金でお金を借り、手形小切手を差し入れていることがあります。
この場合、弁護士が受任し通知することによって、取立を取り消してもらい不渡りを回避することができますので、とりあえず不渡りを回避して、以後の破産手続の準備をすることになります。
まれに、口座凍結により多額の損害賠償を得ることもあります。