私的整理(任意整理)は、金融機関からの債務負担を柔軟に解決する手続きです。
私的整理には、任意交渉による私的整理と準則型私的整理の2種類があります。
- 任意交渉による私的整理
- 直接、債権者と個別に交渉することで債務負担の軽減に同意を得る方法です。
- 準則型私的整理
- 第三者機関のガイドラインなどの一定のルールに基づき実施される手続きです。
金融機関からの借り入れが軽減できれば会社を存続できる見込みがある
メリット
- 取り組み方次第で手続を簡易・迅速に行うことができる
- 簡易・迅速なため、費用も安くなる
- 裁判所での手続きをしないため、社会的な信用を失いにくい
デメリット
- 私的整理は法的に整備された制度ではないため、法的整理と比較して手続きが分かりにくい
- 債権者と合意が成立しない可能性がある
特別清算とは、株式会社を対象とした精算型の倒産手続きです。
債務者から債務を一部免除してもらい、会社の財産から残った債務を債権者に分配します。ただし、特別清算の利用では破産手続きと異なり、債権者からの同意を得なくてはなりません。
特別清算には協定型と和解型の2種類があります。
- 協定型
- 債権者の3分の2以上の同意による協定に基づいた特別清算のことです。
- 和解型
- 債権者の3分の2以上の同意を得た個別の和解による特別清算のことです。
自分または自分が選任した人に清算手続きを進めてもらいたい
株式会社である
債権者からの同意が得られる場合
メリット
- 破産手続と比べて費用や手間がかからない
- 破産と比較して、社会的な信用を失いにくい
- 会社が清算人を選べるため、自らの裁量で手続きを進めやすい
デメリット
- 債権者の過半数、かつ債権総額の3分の2以上の同意が必要
- 私的整理は法的に整備された制度ではないため、法的整理と比較して手続きが分かりにくい
- 債権者と合意が成立しない場合は、破産手続をとるしか選択肢がない
民事再生は、会社を存続させる倒産手続きです。
債務額の圧縮・人員削減・不採算事業の廃止などを盛り込んだ再生計画を作成し、裁判所に認められれば計画通りに返済・再建します。
会社や会社の一部事業を存続させたい
ある程度減額してもらえれば、債務の返済が可能な場合
メリット
- 一定の条件を満たす必要はあるが経営陣を変える必要ない
- 事業に必要な資金をある程度確保しやすくなる
デメリット
- 官報に掲載され、社会的な信用が低下する恐れがある
- 裁判所に支払う予納金や、弁護士に支払う報酬が発生し手続きに費用がかかる
- 会社の土地に抵当権を設定している場合は、債権者が権利行使すれば土地を失うことになる
会社の破産手続では、基本的に経営者の自己破産も伴うため、経営者個人の負債もなくなります。
債権者や株主などの同意を得なくとも手続きが可能です。
負債が莫大で、利益が出ない
資金繰りがそろそろ限界に近い
メリット
- 債務が消滅する
- 経営者に負債がある場合、経営者個人としての負債もなくなる
- 生活を再建できる
デメリット
- 事業の継続も絶たれ会社は存続できない
- 官報に掲載され、社会的な信用が低下する恐れがある
- 連帯保証人への影響がある