離婚後の生活
もくじ
離婚後の生活においての健康保険、戸籍について、社会福祉制度、再婚についてまとめました。
また、離婚に伴い収入が減少する可能性もあります。子どもを持つひとり親家庭に対する様々な支援制度についても、多数の離婚相談に親身に対応してきた弁護士が分かりやすく説明したいと思います。
夫の健康保険に扶養家族として入っていた妻は、離婚により夫の扶養家族でなくなるので自ら健康保険に加入する必要があります。
勤め先に健康保険がある場合は、申告すれば加入できますが、パートタイマーで加入資格のない場合は、区役所で国民健康保険に加入することになります。
母と一緒に暮らす子どもにについては、夫の健康保険に残ることもできます。
夫の国民健康保険の扶養家族となっていた場合は、母子とも別に国民健康保険に加入する必要があります。
山本(旧姓:田中)恵さんの場合
離婚と同時に結婚当時に称していた氏の続称の届出をした場合:
離婚に際して結婚当時の氏、山本を続称する届出をしました。
区役所は、山本恵さんで新たな戸籍を作成して、山本恵さんのみが戸籍に記載されました。子どもの親権は、山本恵さんが行うことになり、山本恵さんと一緒に山本さんの夫の家を出ましたが、子どもは山本恵さんの戸籍には入っておらず、夫の戸籍に残ったままとなります。
離婚と同時に結婚当時に称していた氏の続称の届出をしなかった場合:
山本恵さんは田中恵さんとなり、結婚前の戸籍に戻ります。
子どもは夫の戸籍に残ったままとなるのは同じです。
子どもを自分の戸籍に入れたい場合:
家庭裁判所に子どもの氏の変更許可の申立をして、家庭裁判所の許可を得て区役所に届出をして子どもを自分の戸籍に入れることになります。
シングルマザーの方には、母子手当を始めとして、様々な支援制度が用意されています。これから一人で子どもを育てていこうとされている方は、子どもと一緒に幸せな生活を送るために制度を適切に活用してください。
申請手続きが一人で難しい場合は、弁護士に相談してみましょう。
児童扶養手当
◎児童1人の場合
全額支給の場合は 43,160円
一部支給の場合は 43,150円~10,180円
◎児童2人以上の場合
2人目は全額支給の場合は 10,190円
一部支給の場合は 5,100円~10,180円
3人目以降は全額支給の場合は 6,110円
一部支給の場合は 3,060円~6,100円
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児童手当
◎児童1人あたりの支給額
0歳~3歳未満 一律1 5,000円
3歳~小学校修了前(第2子まで) 10,000円
第3子以降 15,000円
中学生 一律 10,000円
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※所得制限があります
ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金事業
シングルマザーの自立の促進を図り、就職のための資格取得に特化した支援制度です。
◎支給金額
教育訓練費用の60%相当額の助成 ただし、上限は20万円
ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金事業
ひとり親家庭の生活の安定を図り、就職に有利な資格の取得を促すために、養成学校の受講期間中に給付金を支給する制度です。
〈対象資格〉
看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、作業療法士、理学療法士、歯科衛生士、美容師、社会福祉士、製菓衛生師、調理師 など
◎支給金額
市民税非課税世帯は 月額10万円
市民税課税世帯は 月額70,500円
高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
ひとり親家庭の親や子供が、高等学校卒業程度認定試験の合格を目指して、民間事業者などが実施する対策講座を受講する場合に受講費用の一部を支給する制度です。
◎支給金額
教育訓練費用の60%相当額の助成
ひとり親家庭等医療費助成
◎支給金額
窓口負担が1割となり、1医療機関 あたりの負担限度額は月額1,600円
ひとり親世帯家賃補助制度
◎支給金額
要件を満たすと月額最大15,000円の補助金が出ます
特別児童扶養手当
精神または身体に障害を有する20歳未満の子どもを監護している親または養育者(施設に入所している場合を除く)
◎支給金額(年3回、月額)
1級 :53,700円
2級 :35,760円
※所得制限があります
障害児福祉手当
常時介護を必要とする20歳未満の障害児(施設に入所している場合を除く)
◎支給金額(年4回、月額)
15,220円
※所得制限があります
生活保護
◎支給金額
子供2人の母子家庭の場合193,900円
※所得制限があります
公共料金などの割引制度
◯所得税・住民税の減免制度
◯国民年金の免除
◯国民健康保険の減額
◯保育料の免除と減額
◯福祉パスの交付
◯JRの通勤定期乗車券特別割引制度 (3割引)
女性については、離婚後100日は再婚できませんが、2024年4月1日からは、改正民法の施行によりこの制限はなくなり、直ちに再婚できることになりました。
男性については制限はありません。
再婚した場合、連れ子と再婚相手には当然親子の関係は生じません。
親子の関係にするには、再婚相手と養子縁組する必要がありますが、家庭裁判所の許可が必要です。
養子縁組により養育費がもらえなくなる可能性があります。