代償金を公正証書で、給与と退職金にした事例について労働審判で解決した事例
- 代償金を公正証書で、給与と退職金にした事例について労働審判で解決した事例
父が設立した会社所有のビル1階でAさんは弟と青果店を共同経営していました。遺産分割協議で、Aさんは、会社の株式を相続しない代わりに代償金を2億円をもらう代わりに会社の代表取締役を辞任し、青果店も弟に譲ることになりました。
弟は税理士と相談して1度に払えないので、Aさんを会社の従業員としてやとい給与を払い、10年後に退職する際に残金を支払うという公正証書(代償金を法人の経費で処理できます。)を公証役場でこしらえ、会社の代表取締役を辞任しました。
10年たちましたが、弟は法人に手許金がないと言って退職金を払ってくれませんので当事務所に相談にみえました。
- 示談交渉
裁判手続をする前に、弟が代表者となっている会社に内容証明郵便を送り退職通知と退職金の請求をしました。
弟にも弁護士がつき、会社にお金がないので1000万円の一時金で解決したいと回答してきました。
- 労働審判の申立
労働審判は、個別労働事件(個別労働者と使用者間の法的トラブル)について、地方裁判所の簡易な手続で、審判という裁判で裁判所の考えを示す手続です。3度くらいの期日で解決することになっており、簡易裁判所の調停手続より迅速な解決ができ、裁判所の申立手数料も訴訟の場合の半分で済みます。異議申立をすれば訴訟となりますが、実際には裁判所が2度目の期日で心証を開示し、その内容で3回目に調停が成立するのがほとんどです。
労働審判を申立したところ、裁判所は、相手方のお金がないので減額の主張は認めず、退職金全額を分割払する調停が成立しました。